自分らしさに戸惑う人に

自分らしいとは、どういうことかわからない。
そんなふうに思って悩む人がいるかも知れません。
その一方で、「自分はこういう人です」というのを、立て板に水で紹介できるような人もいるものです。
しかし、そのような違いというのは、いままでどんな家庭環境で育ってきたかで大きく左右されるものです。
家族のだれもが自分の意見を表現することを賞賛する環境にいれば、自分とはどういう人間かを言葉で表現する機会も多くなるわけだし、そのストックを取り出して人に示すことも簡単です。
逆に、下手なことを言ってしまうと、咎められたり、笑われたりするのを気にしながら育ってきた人は、自分について表現するのが難しく、思い浮かべるだけでも困難を感じるかもしれません。
しかしながら、それでは自分を言葉で表現するのが上手な人が、自分のことをよくわかっているかと言えばそうとは限りません。
じつは、表現できる自分というのは、自己の一部を無理やり言葉の枠に収めたようなものでしかないからです。
ですから、かえって自分を決めつけて規定しすぎてしまう可能性もあるわけです。
あくまで可能性を残して、自分を規定しすぎないようにしていれば、思っても見なかった自分を発見するチャンスも増えてくるものです。
「自分らしくある」というのは、その状態で「いる」ことはできても、それがどんなものかを「知る」ことはできないものです。
あなたが「自分らしさ」を知ったと思ったとき、あなたは「知る人」と「知られる人」に別れてしまいます。
そして「知る人」こそが本来のあなた自身であり、「知られる人」とは説明出来るように言葉にあてはめられた象徴でしかありません。
どこまでも「知る人」の側が存在し、すべてを「知られる人」にしてしまうことは出来ません。
できるのは、ただあなた自身である状態を体験することだけなのです。
本当に自分らしくしているとき、あなたはそれをいまその時に知ることはないのです。
後から振り返って、その時は自分らしかったと説明することはできるかもしれません。
しかしそんなことはどっちでもいいことだし、ただその状態を経験するのが本来の自分らしさというものでしょう。
自分らしさに入り込んでいるとき、自分が何をしてるかなど振り返らないし、それを説明しなければいけないとも思わないものです。
谷神は死なず、それは神秘なる女性と呼ばれる。
神秘なる女性の扉、そこが天地の根源である。
それは綿々と続いて、いくら汲んでも枯れない。
老子道徳経 第六章
谷とは空間です。
山は形のあるものですが、谷はくぼんだ空間であり、それ自体形のあるものではありません。
老子は、空間こそが源であると言います。
空っぽだから役に立つ、そこからすべてのものが生まれてきて、いくら取り出しても尽きない源であると。
それに対して形のあるものは、源から取り出して表現された結果です。
形をとったものは、もはや他のものに変えることはできない。
それはまた、形をとった時から、いつか破壊される時が来るものです。
自分らしさも、知ることの出来ない空であってこそ、限定されず破壊されることのない可能性を秘めた存在になれます。
「自分とはだれか」、「自分らしさはこれだ」、そう決めてしまうのは可能性を限定する行為です。
それはまた、その規格にあわない自分を封印したり抑圧する原因となります。
それが、のちのち自分らしさを取り戻したいと、何度もあなたを苦しめる原因となります。
空であること、知られざる存在であるとき、可能性は無限となります。
ですから「あなたは誰か説明しなさい」といわれて、あなたを限定してしまう必要などないのです。
他人との関係を取り繕うために、自分を安売りする必要はありません。
あるいは社会的な圧力に負けて、自分を枠にはめてしまう必要もありません。
あなた自身がそれを許さない限り、誰も強制できる人は存在しません。
もちろん自分で自分の可能性を限定して、「私は所詮こういう人間よ」と決めるのも馬鹿げています。
「からっぽ」であることは、不安だとか不便だとかと言う理由で「自分を誰かに仕立てる」とき、あなたの分裂が始まります。
それを許している限り、あなたはいくつもの自分を作り出して、これは自分じゃないと思っても拒否できなくなるのです。
そして、すぐにどれが本物の自分かもわからなくなってしまうのです。
自分らしさなど、人に説明しようと思わないことです。
それは説明しなくても相手に伝わるものであり、自分そのものであるとき、それは自分自身が一番わかっているものです。
説明しようと思わないでも平気でいられるときこそ、自分らしい自分でいると言えるのではないでしょうか。


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