2つのアプローチ~私とどうつきあうか

自分のこととはいっても、うまくつきあっていくことはなかなか難しいものです。
単純にいい部分と悪い部分を切り分けて、それらを強化するかや排除するかで扱うというようには簡単にいかないものです。
そんな自分の扱いについて、一見矛盾する2つのアプローチを考えてみます。
まず一つ目は、先ほど述べたように、単純に強化と排除では扱えないことを前提に考えます。
たとえば、何かの問題や悩みが生じて、その原因を探ってみたら、自分のある傾向がもたらすものらしいとわかったとします。
それらは、たとえば人見知りする、行動力に欠ける、飽きっぽい、慎重さに欠ける・・・等々の自分の性格傾向なのかもしれません。
そこで、たとえば自分は決断が遅くて、行動力に欠けるから、これからは決断に時間をかけないようになろうと思って自己改造を試みるとします。
ですが、たいては、三日坊主で終わってしまうでしょう。
そして、自己改造もうまくいかない自分を責めたり、だめな人間だと悲観してしまうかもしれません。
ですが、なにごとも両面があって、その片方だけが正しくて、反対側は間違いだと決められるようなものではありません。
「決断が遅い」と言うことは、別の面から見れば、じっくり熟慮できる性格であるとも言えるわけです。
そして、逆の傾向が強いタイプの人からすれば、「自分は思いつくとすぐに行動して失敗が多い」だからあんな風にじっくり考えるようになりたいと思っているかもしれない傾向でもあるのです。
先ほどのような強制的な自己改造とは、両面を見ないで片方のメリットだけを強調している点で問題があります。
また、もうおわかりでしょうが、「決断に時間をかけない」と決めることは出来ても、それは単独で変えられるといったものではありません。
もともと、じっくり考えて決めようとする自分が存在するのです。
その自分を消してしまうわけにはいかないのです。
自己改造をやろうと思ったその人自身も、始めるときにそのことにぼんやりとでも気がついたはずです。
「自分の一部が消されてしまう」という思いです。
その自分とは、いままでも自分のいろんな部分と絡み合って役に立ってもきたわけです。
思いつきで、君はもういらないと言われて消し去れるような簡単なものではないし、それだからこそ一貫した自己が維持されているとも言えます。
ですから、強制的な強化や排除というのは、消されかかった自分の抵抗にあって、いずれ失敗してしまうに決まっているのです。
いままで傾向の強かった自分も、これから変えたいと思った自分も、両方がしっかりと自己認識できている必要があります。
その上で、どちらを消すのでもなくつきあえるようになったとき、結果として自己改造というものがもたらされるわけです。
ですから、単純に自己認識もなしに強化や排除で自己改造することは、無謀な取り組みであること。
また、自己を全体として扱うアプローチ、2元的ではなく、両方の極のバランスを考慮したアプローチをとることが大事だと言えるでしょう。
さて、もう一つの方、一見今の話とは逆にもみえるアプローチの話に移ります。
これは一言で言えば「未練を断ち切る」ということです。
これがどうしても必要な場合があります。
それは、ゲームをやっている場合です。
典型的なのが、共依存と呼ばれる関係におけるゲームです。
親子の間での共依存の場合、親の多くは子供に対して「甘やかし」をします。
子供に依存した親は、子供が成長していくにつれ、だんだん自分がしてやれることが、少なくなってくることに不安を感じます。
そのために、子どもに自分でやらせた方が良いことまで、親の方から先に手伝ってやってしまおうとするのです。
一見子供を心配しての行動に見えますが、過度の干渉になってしまうのは、子供のためと言うよりも、親自身の不安から来る行動だと言えます。
一方で、子供の方は依存した親に育てられると、「自分でやるからいいよ」という一言がいえないまま、自分も親に依存するという関係を強いられることになります。
子どもからすれば、自分で考えて行動したいと思い、今度こそは自分の意見を通そうとします。
しかし「こんなにあなたのことを思っているのに、なんて親不孝なことを言うの!」といった一言で、子どもは罪悪感を感じ、反発しながらも自分の考えを諦めて親の言いなりになってしまうのです。
それがゲームになってしまうと、見かけ上は抵抗しているように見えても、結局は自分の考えをあきらめて親の意見に従うことになります。
そして、親の意見と自分の意見の間で葛藤をくすぶらせながら、いやな思いをする経験を繰り返してしまいます。
共依存の関係では、相手との関係の中に、愛情面で自分を満たしてくれるものも存在するわけです。ですから、その関係を崩してしまうことに恐れを感じるのです。
その一方で関係そのものに、息苦しさを感じている自分も存在するのですが、その関係を維持するためには、自分自身の感情を素直に感じ取ることを、犠牲にしなければならなくなるのです。
これを解決するには、先ほどのアプローチとは逆に、強制的にでもこの関係から脱出する必要があります。
もちろん相手は抵抗したり、何とか引き戻そうと工作し策略を使ってもくるでしょう。
しかし、引き戻されてしまっては、いつまでも解決しないのです。
「未練を断ち切る」と表現したのは、このことです。
この場合は、妥協はいい結果をもたらしません。
このように2つのアプローチを見てくると、どっちがいいのかとわからなくなるかもしれません。
しかし、どちらのアプローチにも共通していることがあります。
それは、方策などと言ったことよりも大事な根本姿勢ですが、正直に本当の自分を知るということです。
自己認識を伴わない策略は、意味がないし失敗に終わるのです。
正しい原因をつかまないで悪あがきしても、事態は悪化するばかりです。
砂時計になったパソコンで、余計なクリックや、やたらとキーを押すことは、やればやるほど復帰が遅くなりハングする原因にもなってしまいます。
悪あがきではなく、目先の策略ではなく、正しい原因をつかむことが何よりも大事です。
そして、探すところはひとつ、自分の心の中にあります。
テーマ : 心、意識、魂、生命、人間の可能性
ジャンル : 心と身体


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